学校薬剤師は理科室点検も行います。
理科室も保健室と同様、学校の中で管理すべき薬品が多い場所です。
今回は、理科室の主な点検項目と薬品の取り扱いについてお話しいたします。
点検①:施錠と表示
薬品収納庫のある部屋(理科準備室)は児童・生徒が自由に出入りできないよう、施錠する必要があります。また、薬品収納庫(特に劇物・毒物)も施錠しなくてはなりません。
さらに、薬品収納庫には「毒物」「劇物」「危険物」「火気厳禁」「注水注意(禁水)」の表示が必要です。
点検②:薬品管理台帳
薬品の保管管理として、台帳に必要事項(薬品の名称・購入年月日・使用量・残量等)を記録する必要があります。特に在庫量(残量)の確認を徹底し、盗難や紛失に備えなくてはなりません。
点検③:事故や地震の対策
薬品には混合により発火や爆発を起こすものがあります。薬品の特性(類)ごとに保管し、危険なもの同士を接触させないようにします。(例:過酸化水素と二酸化マンガン、硝酸とエタノール)
また、地震等で薬品が転倒することのないよう、仕切り板のついた箱で保管することが望ましいです。
点検①・②は、盗難防止の意味でも重要です。理科室に保管されている薬品の中には爆弾の原料となるものがあります。子ども達の学びの道具が犯罪に使われるようなことがあってはなりません。
点検③も地震大国の日本では欠かすことができません。また、実験中の事故を防ぐ為にも薬品の適切な取り扱い方を知っていただく必要があります。
ですが、学校薬剤師が点検・検査を行うのは不備を指摘する監察が目的ではありません。安全で安心できる学校環境を整える為の情報収集です。
学校薬剤師が点検・検査に出向くと、「何を言われるだろう…」と戦々恐々される保健室や理科室担当の先生、給食の調理員さんがいらっしゃいますが、課題を共有して改善の工夫を一緒に考える存在になりたいと私は思っています。
思い返せば、私が今の職についているのは理科室が原点だったかもしれません。
水上置換法で水中にポコポコと集まる酸素にワクワクしたり、顕微鏡下の植物の気孔の形にゾクゾクしたり、赤血球の形にウットリしたり…。
一つの体験でどう感じるかは、それぞれの子ども達で違ってくるでしょう。(実際、先程の私の思い出に賛同してくれた人間は今のところいませんし…。)それでも、一つの体験が未来の選択肢の一つになっていくのだと私は思います。
安全・安心な場所で子ども達が様々な体験をし、未来への選択肢を増やしていけますように…。
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