あなたにとって車とは? 〜「雨の日には車をみがいて」を読んで〜

日々の暮らし

私にとって車は「タイヤが4つあって、荷物と自分を運んでくれるもの」、それ以上でもそれ以下でもない生活用品の一つでした。
…息子の車オタクが発覚するまでは。
小さな男の子の興味は「クルマか電車か戦隊もの」に大別されることが多く、うちの子はクルマみたいだね…と夫婦で話していましたが、成長と共に彼のクルマ愛も肥大していきました。
ミニカーさえ握らせておけば電車の中で愚図ることもなく、渋滞でもチャイルドシートにご機嫌で座り(むしろ車が沢山見られるから)、自分で選んだミニカーを握りしめて寝室へ行く儀式?で寝かしつけで困ったこともなく…でした。
勢い、絵本や本もクルマ関係になりがち(書籍に限らず…ですが、そのお話はまた今度)で、一時期の彼の愛読書は中古車情報誌だったほどです。

そんな彼が三つ子の魂…で「面白そうだから」と買った本が「雨の日には車をみがいて」(五木寛之著)。

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相変わらず、本のセレクトの基準が独特。そして、積読の人…。
でも、本好きの私も見に覚えあるあるなので、何も言えず。そして、私が読むものに困った(買った&借りた本を読み尽くした)時に重宝するしで、今回はこの本を拝借です。

シムカ1000、アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー、ボルボ122S、BMW2000CS、シトローエン2CV、ジャグワーXJ6、メルツェデス・ベンツ300SEL6.3、ポルシェ911S、サーブ96S。
…この小説に登場する車です。
この本は、放送作家の卵だった「ぼく」が人生の節目節目で出逢う9台の車と9人の女性(恋愛対象とは限らない)の短編小説集です

最初にごめんなさい…ですが、私はどの車も知りません。
息子に尋ねると「知ってる。そんな車がでてくるんや〜。」(依然、積読の人…。)と言っていましたが。
そもそも、「ぼく」が初めて車を手に入れた(シムカ1000)時代、私は生まれていません。元々、息子が生まれるまでは国産車の車種すら満足に言えなかった私(息子のお蔭で勉強させてもらいました)が知らなくて当たり前。何で息子は知ってるんだ…というより、えらく「昭和」な作品(五木寛之さんだもんね)を選んだものだ、本当にタイトルだけで買ったのね…。

9話全編、「ぼく」のクルマ好きぶりが散りばめられています。


「ぼくは、走っている車を見るのがすきだった。歩道につっ立って、何時間もただ目の前を通過してゆく車を眺めているだけでも面白かった」(第2話 アルファ・ロメオの月)
…クルマ好きって、そうなのね。お正月にテレビでやっている箱根駅伝を私の父の隣でジッと見ていた幼い息子を思い出しました。「駅伝、面白い?」と尋ねるたら「うん、白いプリウスが走っているね」と…。

「それは見て美しいだけでなく、走らせてみても実にすばらしいハイ・パフォーマンス・カーだった。175/70HR-4という当時にしては太いタイヤを優雅なボディ・シェルの下に隠して、まるでフィギュア・スケートで氷の上を滑るようになめらかに路面をトレースするのだ。」(第4話 バイエルンからきた貴婦人)
…走るクルマを見て、スケートを連想したことはなかったです。

「メルツェデス・ベンツ300SEL6.3は、まさに不気味なまでのパワーを感じさせる異様な乗用車だった。」(第7話 怪物グロッサーの孫娘)
…この文章のあとに、この車について2ページにわたって「ぼく」が語ります。「エンジンのトルク」、「回転数」辺りで、内容の理解を諦めてしまいました。

だけど、クルマ好きでなくても楽しめる物語です。時代が移り変わり「ぼく」も歳を重ね、出逢いと別れを繰り返す。人もクルマも…です。
淡々とした語り口ながら、どこか温かく郷愁を感じるのは、自分もそれだけ長い道のりを歩んできたからでしょうか。

ところで、買った文庫本の版では自動車評論家である徳大寺有恒さんが解説を書かれていました。
クルマ好きの中では有名な方です。著書である「間違いだらけのクルマ選び」シリーズも息子の愛読書でした。
徳大寺有恒さんの訃報を聞いてショックを受けていた当時の息子はまだ小学校低学年。クルマに関しては、そこそこ大人の本を子供なりに読んでいた訳で、「好き」というパワーの大きさを改めて感じます。

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さて、我が家の車も10年越えの走行距離が10万Km。
次はどんな車にしようかな…。

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