「漢方なんて(怒)」と思った日々…しくじり漢方な昔話

漢方

薬学部に入ったキッカケの一つが漢方薬への興味だったにも関わらず、調剤薬局で働き出して「漢方なんて!」と思うことが度々ありました。

今日はそんな昔話を…。

ケース①:痛み止めは悪
風邪の後に頭痛が残り、痛み止めを所望するが、漢方薬好き内科医に断られる。

確かに、温める作用のある漢方薬と解熱作用ある鎮痛薬の併用は相反するけれど、そこまでする・・・?
鎮痛剤の連用は避けるべきだけど、 一時的な使用なのに、敢えて頭痛を我慢するメリットって・・・?

ケース②:ステロイドは悪
アトピー性皮膚炎の子供を抱いて、皮膚科を訪れたお母さん。漢方薬局で「ステロイドはクセになる」と言われ、ステロイド外用薬を拒否。

お子さんの肌は見るからに増悪期。 その辛い皮膚症状を速やかに治す為に試したい薬なのに・・・。ステロイド外用薬と漢方薬の併用でスタートしてもいいのに・・・。

ケース③:抗がん剤は悪
がん治療の一環として説明された抗がん剤について「副作用で身体を弱らせる。意味ない。」と漢方薬局で言われてしまう。

標準治療を「意味ない」の一言で片付けてしまう根拠は・・・?
どんな治療にもメリットとデメリットがある。

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掻傷が痛々しい子供を抱いて、それでも皮膚科医の話に頑ななお母さん。
癌が見つかり治療を始める、でも…と話してくれた患者さん。

西洋だろうが東洋(漢方)だろうが、患者さんにとっては治れば(もしくは納得いくなら)何でもいいのに…。
医療関係者側の一言で、患者さんの選択肢が狭まる怖さ。


そして、人は自分が信じたい情報を掴みがち。
患者さんの不安につけ込む意図はないにせよ、結果的に誤った解釈や間違った情報に飛びつくキッカケを作ってしまう恐れ。

…肝に銘じたいと思います。

正直、一般的な医師や薬剤師が漢方を煙たがることには、残念ではあるけれど理解はできます。医学部・薬学部で漢方を学ぶ時間は圧倒的に少ないから。

でも、中庸の考え方を知っている東洋医学(漢方)の人達が偏った考えで西洋医学を否定するのって…。
日進月歩の医学にどれだけついていけているかも定かでないのに…。
そんな風に「漢方なんて」と舵切った私もまた中庸ではありませんでした。

ちなみに、頭痛で痛み止めをもらえなかったのは私の夫。
以後、彼は桂枝湯とカロナールを巧みに(?!)使い、そもそも風邪で受診することはなくなりました。

西洋でも東洋でも、正しい知識と自分に合ったケアで健やかな毎日を…。

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