学校薬剤師は、ダニアレルゲン検査も行います。毎年1回、温度と湿度の高い時期に行います。地域差がありますが、7~9月に行われることが多いようです。
ダニアレルゲンとは、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)である生きているダニ(主に居住環境から検出されるチリダニ科のダニ)とその死骸や糞の総称です。アレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎の原因の多くがダニアレルゲンです。
このような袋(細塵捕集用フィルター)↓を掃除機に装着して、吸引します。(1㎡の範囲を1分間吸引。)
学校では、主に保健室の寝具や多目的教室等のカーペットを調べます。結果は「ダニ○○匹/㎡相当」と表されます。
基準は「ダニ100匹/㎡相当以下であること」です。この値以下になると喘息の発作が治まったという報告があることが根拠のようです。
「えっ?ダニがそんなにいるの?」と驚かれる先生もいらっしゃいますが、生きているダニだけでなく、その死骸や糞も含めたアレルゲン量がダニ何匹分に相当するかを示しています。寿命の2~4ヶ月の間に多くの糞をし、その糞のアレルゲン活性は生きているダニや死骸よりも高いことから、生きているダニだけでなく糞(と勿論死骸も)にも注意が必要です。
ダニの卵は1週間で孵化するといわれていますので、寝具のシーツやカバーの洗濯・布団の天日干し・掃除機かけ・・・等の対策を1週間に1度以上行うのが効果的です。掃除機は生きているダニにはあまり効果がありません(某殺虫剤メーカーの研修映像で、逃げまどって吸引されないダニ達を見ました・・・)が、死骸や糞のアレルゲン除去には効果的です。ダニは高温に弱く、湿度の低い環境では繁殖できません。天日干し(黒い布でカバーすると効果up)・乾燥機・薬剤等で死滅させた後に掃除機を使うと良いでしょう。
1年の中でダニが発生しやすい時期は6~8月ですが、秋口になったからと安心してはいけません。秋以降は湿度が低くなり、夏場に繁殖したダニの死骸や糞は乾燥でさらに細かくなり気管に入りやすくなります。引き続きこまめな清掃(掃除機が効果的です)が必要になります。
2学期に子供達を迎える前に、保健室の布団を天日干ししたり、丸洗いにだしたりされる学校もあります。どのような子供達にとっても学校は安心できる安全な場所でなければなりません。その為のお手伝いができる学校薬剤師でありたいと思います。
※学校薬剤師は学校環境基準等を基に検査を行い、各学校の事情に応じて指導や助言を行います。
ここでのお話も一学校薬剤師が担当校での検査を行った際の限定的な見解が多分にあることをご留意ください。
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