しくじり漢方⑪ 痩せる漢方薬…まだ続ける?防風通聖散の落とし穴

漢方

「漢方が好き!」と言いながら、若い頃は雑多な知識を寄せ集める事しかできず、恥ずかしい失敗談は数知れず。
私に限らず、一般の医療従事者(医師も含め)は漢方を勉強する機会が、西洋医学に比べて圧倒的に少ないものです。
なので、漢方家の方からすれば「えっ??」と思われるようなエピソードも数知れず。

今回は、ダイエット界(?!)では有名な防風通聖散ぼうふうつうしょうさんのお話です。

ある日の処方せん

ミヤBM 3錠 
1日3回 毎食後 14日分

整腸剤のみの処方せん。予想通り「下痢が続いています」と患者さん。

他に服用されている薬は?と、お薬手帳を確認すれば、痛み止めに、あの漢方薬…。

セレコキシブ100mg錠 2錠
1日2回 朝夕食後 14日分
ツムラ防風通聖散 

「膝が痛くてね…。医師せんせいに“痩せなさい”と言われてね。」と、患者さん。

えっ?!防風通聖散…。

そもそも防風通聖散って…

​「痩せる漢方」のイメージが強い防風通聖散。体内の“たまりもの(風・熱・湿・毒・食)”を追い出し、通りをよくする漢方です。
​特に「熱っぽく、便秘がちで、お腹まわりに脂肪がつくタイプ」に向くイメージです。

…そう、あくまでイメージ。
​このイメージだけで、効き目が曖昧なまま、漫然と飲み続けている方がとても多いのです。​

胃腸が弱い方や冷え性の方には不向きで、下痢や腹痛を起こすことも。
漢方は、丁寧な証(体質や症状)の読み取りが欠かせません。
膝の痛みで整形外科へ行き、痛み止めと一緒に「痩せなさい」と防風通聖散を処方された患者さんも…。
​下痢が続いていたため「一度服用を控えてみては」とお伝えすると、目を丸くされていました。

最後に…

膝のために体重を落とす必要性はごもっとも。
ですが「飲むだけで痩せる漢方」はありません。食事や運動などの「養生」が大前提です。
効果が曖昧のまま、漫然と服用するケースは、病院で処方される医療用医薬品でよく見られます。窓口での負担が少ない分、やめどきを見失いがちなのかもしれません。​ですが、医療費の増大が社会問題になっている今、お薬の無駄遣いは避けたいものです。
効果的な治療を本当に必要な人へ届けるシステムを守るためにも……。​

ちなみに、ダイエット漢方として双璧を成す「防已黄耆湯ぼういおうぎとう」のモヤモヤについては、また別の機会に。​

正しい知識で、最適なケアを。一緒に考えていければ嬉しいです。

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