我が家のクスリ箱⑦ アセトアミノフェン製剤

薬局から

コロナ禍でセルフメディケーションの意識が高まったと言われています。緊急性の低い症状は市販薬を使って経過を見る、必要に応じて受診する・・・そうした工夫を身につける事が大切だと思います。応急処置に使う救急箱に常備するお薬は、家族誰もが使えるもの、汎用性の高いものが理想です。そこで、常備しておくと便利な漢方薬をいくつかご紹介しました(「我が家の薬箱」①〜⑥)。
ですが、当然ながら救急箱の中身は漢方薬ばかりで成り立つ訳ではありません。

今回は解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェン製剤のお話です。

どんな薬?

スバリ解熱鎮痛薬です。
病院でもらうカロナール®やドラッグストアで購入できるタイレノール®という名前でも知られています。他にも多数の製品があります。

長く使われている薬ですが、作用機序は明らかになっておらず、中枢に作用して解熱・鎮痛作用を発揮するといわれています。
用量の違いは勿論ありますが、小児から高齢者まで使えます。
胃腸障害や腎障害の副作用に気をつけなければならない他の解熱消炎鎮痛剤(ロキソプロフェン、ジクロフェナク等)に比べ安全性の高い薬剤です。アセトアミノフェンの最も気になる副作用は肝障害ですが、高用量で長期服用しない限りは起きにくいとされています。
応急処置として救急箱に入っているアセトアミノフェンを一時的かつ定められた用量で使う場合には、心配するレベルでないでしょう。
とはいえ、アセトアミノフェンは総合感冒薬等の多くの配合剤に含まれています。複数の薬を服用して、気づかぬうちにアセトアミノフェンを重複していることがあるので注意は必要です。

どんな時に使う?

ズバリ各種の痛みと発熱です。
参考までにタイレノール®の「効能・効果」は、「頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛。 悪寒・発熱時の解熱。」と記載されています。

風邪症状で発熱、頭痛や喉・節々の痛みがある時に服用して様子をみたりします。常備しておくと、すぐに受診できる状況でない時に重宝します。
ただし、発熱している場合は水分補給(症状に応じて経口補水液も)も必要です。
熱が下がらない場合は勿論ですが、「薬を飲んだ時だけ下がる」、「朝は下がるが夜に上がる」場合も受診すべきです。

痛みに対しても、あくまで対処療法です。
大人であればアセトアミノフェン以外の鎮痛薬を使われる方も多いでしょう。
歯痛で使ったのなら歯科を、耳痛で使ったのなら耳鼻咽喉科を…痛みの原因を解決すべく受診をおすすめします。
頭痛や生理痛についても同様です。その為に救急箱から頻繁に鎮痛薬を取り出すようならば、他の対策を考えなければならないでしょう。
頭痛の陰に他の疾患が隠れている場合もあります。また、1か月に15日以上頭痛がする、その為に鎮痛薬を10日以上服用している場合は「薬物乱用頭痛」の可能性もあります。
生理痛も症状が強い場合は「月経困難症」と呼ばれ、治療の対象となります。
是非、受診を…。その後は漢方的アプローチも選択肢の一つになるかと思います。

最後に…我が家の場合

今までお話してきましたように、我が家の救急箱にはいくつか漢方薬が常備されています。
ですが漢方薬だけでなく、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやロキソプロフェン)、消化剤の入った胃腸薬(消化不良に)、抗アレルギー薬(鼻炎や蕁麻疹に)は常備しています。
必要に応じて使い分けています。

「解熱鎮痛剤は良くない!」と言う声が、漢方薬に詳しい人達から度々あがりますが、時と場合によりけりです。無理して我慢する必要はないと思います。

アセトアミノフェンの服用に際して、我が家で注意していることを敢えてあげるならば漢方薬との併用でしょうか。
葛根湯のように体を温めて体表面の寒さ(寒邪)を発散させる薬は、その作用から一時的に体温を上げます。これにより回復にむかわせるので、解熱効果のあるアセトアミノフェンとは真逆の働きかけをします。
我が家では、葛根湯を服用して様子をみてからアセトアミノフェンを服用することが多いです。
それぞれの薬の効果を最大限期待してのことですが、実際は適正な用量であればアセトアミノフェンが平熱よりもはるかに体温を下げる可能性は低く、効果が完全に打ち消される心配はないと考えられます。利便性の結果だと思いますが、葛根湯とアセトアミノフェンの配合剤も市販されています。
ですので、漢方をかじっている人間のちょっとしたこだわり…かもしれません。

大事なのは身体の為に何が必要なのかを考えることです。
西洋薬に頼り過ぎず、漢方薬にもこだわらない。
薬膳を楽しみつつ、現代栄養学の知識も忘れない。
西洋と東洋、二つの叡智を取り入れて健やかな毎日を過ごしていければと思っています。

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