先日お伝えした、牽牛子塚古墳へ出向いた(「お天気の良い日に、あさがお塚古墳へ 道の駅の戦利品と共に」)日のもう一つの訪問先は“三光丸クスリ資料館”でした。
奈良県御所市にある、薬草と配置薬のミュージアムです。
先ずは“薬のまほろば館”から。
“大和”と呼ばれていた奈良の生薬の歴史の数々が展示されています。
推古天皇が薬猟(鹿茸と薬草採り)を行ったという記録。
寺院で施薬が行われたという記録。
寺院で薬がつくられ、売られるようになったという記録。
…これらが、奈良と薬の関係を物語っています。
三光丸の前身である“紫微垣丸”は、1300年代につくられ始めました。
南北朝の争いで吉野へ移られた後醍醐天皇に、大和の豪族であった越智氏が献上し、帝から“三光丸”の名を賜ったそうです。
さて、その“三光丸”。
胃薬です。千振(当薬)・桂皮・黄柏・甘草から成る生薬製剤です。
先ほどの写真は、それらの生薬の展示です。
このように↑、モリモリ生薬が展示されています。
これは、桂皮。シナモンの香りが漂っていました。
その他の生薬も展示されていました。
これは鹿茸。補腎剤です。滋養強壮に用いられることが多いです。
鹿の袋角(生えかわったばかりの、角化していない柔らかい角)です。希少価値の高い生薬を無造作に展示してくださっています。
こちらは羚羊角。熱を冷ます力の強い生薬で、解熱や解毒に用いられます。
サイガレイヨウというカモシカの仲間の角。絶滅危惧種で、ワシントン条約で規制されています。
“赤い風邪”に使用頻度の高い銀翹散(「我が家のクスリ箱③ 銀翹散・桔梗湯の使い方」)にも含まれている生薬ですが、国際取引が規制されていることもあり、羚羊角を除いた製品もあります。
希少なだけあって、ケースに入れられています。
そして牛黄(牛の胆石)は流石にパネルだけでした。
何せ、胆石が見つかるのは1000頭に1頭。金に匹敵する希少性です。
他にも色々な生薬が。
…楽しすぎます。
“薬のまほろば館”を出て、次の建物に入るまでの道すがらは、ミニ薬草園になっていました。芍薬などが植えられていたのですが、時期が外れているものが多くて、写真なし。だけど、かなりの興奮モード。
薬草園を通って“三光丸こころの館”へ。
三光丸の製法や配置薬の歴史について学べます。
配置薬とは、いわゆる置き薬のことです。
薬をあらかじめ家庭に預け、次に訪問した時に服用した分だけの代金を集めていくというものです。
このような、先に商品を使わせ、後で使った分だけ代金を受け取る販売方式を“先用後利”といい、置き薬の特徴を表しています。
昔の看板や包装紙、ポスター、販促品…レトロ感いっぱい。
こちらは手づくりで三光丸がつくられていた頃の道具も展示されています。
生薬をゴリゴリして、粉にする道具ですね。
丸剤に整える道具も。
実は、私が薬学部いた頃に一度やったことがあるのです。結構難しかったのを覚えていますが、楽しかったな…。
薬包紙も懐かしい。
薬包紙での包み方も実習であったけれど、今の薬学部ではないですね。時代を感じます…。
収蔵庫の中には添付文書の版木も。
昔は添付文書のことを能書と呼んでいました。
アンケートに答えると、お土産をいただけます。
それに加えてグッズのタオルと三光丸も購入。
三光丸…年末年始の暴飲暴食対策に。わかっていたら、しなきゃ良いのですが。
奈良にある薬の博物館は、いくつか訪れたことがありました(「奈良と薬と漢方な日々」)が、こちらが一番充実していました。
楽しかった~。テンション上がりまくり。良い時間でした。
奈良には、他にも薬草園等、薬と関係深い所があります。
春になったら、行ってみたいものです。
コメント
なんて面白そうな資料館なんでしょう!!
実は、年始に関西方面に滞在するので、以前薬剤師Aさんがアップされていた薬の館、くすり資料館(高取)へ行く予定でした。
しかし、宇陀市の薬の館は年始は休みだと言われ(泣)くすり資料館だけ行くつもりでした。この三光丸クスリ資料館もよさそうですね!!
ただ、上田酒造の蔵元見学の予約も入れちゃってて、時間がとれるかが問題です。
情報ありがとうございます!!
ありがとうございます!
くすり資料館は本当に小さいので(^_^;)、こちらの方が見応えあるかもです。
奈良は京都と違って観光スポットが点在しているので、移動時間が結構ありますよね。
蔵元見学!いいですね!!
ありがとうございます!!
ただ、三光丸の方は、年始、お休みでした。。。
また次の機会にチャレンジします(^^)/
そうだったのですね。是非、又の機会に(^^)/
蔵元見学のお話も楽しみにしています!