学校の空気検査は年に2回、夏季と冬季に行います。
子供達が安心・安全に過ごせるよう、教室の環境には基準があります。
主な基準をあげていきましょう。
気温・湿度
学校環境衛生基準では「温度は17℃以上、28℃以下であることが望ましい」「相対湿度は30%以上、80%以下であることが望ましい」とされています。
コロナ禍では、換気と適正な室温の維持の兼ね合いが重要になってきます。
また、湿度は温度の影響を受けやすいので、冬季は乾燥を防ぐ為には十分な室温を維持することが必要になってきます。
二酸化炭素濃度
コロナ禍で換気の重要性が取り上げられ、随分と認知度が高まりました。
学校環境衛生基準では「1500ppm(特定建築物に適応する場合は1000ppm)を超えないことが望ましい」とされています。
通常、二酸化炭素濃度が2500ppmを超えると、眠気や注意力低下が起こり作業効率が悪くなるといわれています。
気流
学校環境衛生基準では「0.5m/秒以下が望ましい」とされています。
換気・人の動き・エアコンにより空気の流れが生じますが、強い気流は不快感を伴うことがあります。
新型コロナ感染拡大防止の観点から換気の為に窓を大きく開ける事が多くなった今、窓付近の席に座る子供達の状況を知る上でより必要な検査と考えられます。
ホルムアルデヒド
いわゆるシックハウス症候群の指標ともなり、ヒトの粘膜を刺激(目がチカチカする・涙が出る・鼻水が出る・喉が痛い…等)する揮発性の有機化合物の一つです。
学校環境衛生基準では「0.08ppm(100万分の1=0.0008%)を超えないこと」とされていますが、これより低い値でも症状を訴えるケースがあります。
2003年に建築基準法が改正され、以降はホルムアルデヒドが放散される建材の使用は規制されています。ですが、10年以上たってもホルムアルデヒドの放散が続くことがあります。
接着成分が加水分解されることにより放出されるのがホルムアルデヒドですので、極端な言い方をしますと接着成分が残っている限り、空気中の水分と反応してホルムアルデヒドが生成されてしまうのです。
また、昨今ではタブレット端末を用いた授業が増えています。タブレットやパソコンにも接着成分が使われ、ホルムアルデヒドを含め揮発性の有機化合物が放出されます。1台だけだと低濃度であっても、一人1台の端末でクラス全員分となるとそれなりの濃度になってしまいます。
ホルムアルデヒドを含め揮発性の有機化合物は湿度・気温が高い時期に発生しやすいので、 新型コロナ感染拡大防止の観点からだけでなく、ここでも十分な換気が重要となってきます。
教室は、学校で子供達が大半を過ごす場所です。
どのような子供達にとっても安心できる安全な場所であるように、必要なお手伝いができればと思います。
※学校薬剤師は学校環境基準等を基に検査を行い、各学校の事情に応じて指導や助言を行います。
ここでのお話も一学校薬剤師が担当校での検査を行った際の限定的な見解が多分にあることをご留意ください。
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