一家に一つあるであろう救急箱。ですが、定期的に中身をチェックされている方はそれ程多くない気がします。新型コロナウイルスが猛威をふるいだし、慌てて体温計を探したら使えなくなっていた・・・という方もいらっしゃったのではないでしょうか。
応急処置に必要なものが入っている救急箱に常備するお薬は、家族誰もが使えるもの、汎用性の高いものが理想です。そうした意味でも漢方薬はおすすめです。
ここでは「これだけあったら何とかなるのでは・・・」という漢方薬をご紹介していきます。
ご参考までに医療用エキス剤の写真を載せていますが、ドラッグストア等でも購入できる漢方薬です。
あると安心・・・桔梗湯
喉の痛みや炎症に効果のある桔梗湯。
「あれ、喉が・・・」という時、ぬるま湯等で溶かして「ガラガラ」とうがいしながら服用してみて下さい。
定番の・・・葛根湯 あるいは麻黄附子細辛湯
漢方薬と聞くと真っ先に思い浮かぶのが葛根湯ではないでしょうか。
ゾクゾクと寒気がする「風邪のひき始め」に用いられる他、頭痛(特に項や肩が強張っている時の)や肩こりにも用いられます。
葛根湯は子供から大人まで用いやすい漢方薬であるものの、比較的体力のある方に向いた漢方薬です。
体力が低下している虚弱な方が葛根湯を服用されると、却って不快な症状(虚脱感・動悸・煩躁等々)がでる場合があります。
そのような方や「ゾクゾクと寒気がして辛いのに、熱はない(あるいは微熱程度)」という風邪(お年寄りや体力の低下した方に多い)には、麻黄附子細辛湯がおすすめです。お年寄りがいらっしゃるご家庭の救急箱に常備されていると便利です。
急な吐き下しに・・・五苓散
嘔吐や下痢で活躍する漢方薬が五苓散です。
五苓散は身体の中の水分のバランスを調整する働きがあります。ですので、嘔吐や下痢に使われる以外に熱中症のような暑気あたりや二日酔いにも使われます。
先ほど「頭痛に葛根湯」と書きましたが、五苓散も頭痛に使われます。項や肩が強張っている頭痛には葛根湯が使われるのに対して、雨が降る前や雨の日に起きやすい頭痛、二日酔いの頭痛には五苓散が効く事が多いです。
五苓散も葛根湯と同様、汎用性の高い漢方薬です。
胃腸のトラブルに・・・安中散 あるいはお子様に小建中湯
安中散は、胃痛・腹痛によく効く漢方薬です。「タケダ漢方胃腸薬A」を始め、「安中散」と書かれていなくても各種の胃腸薬に使われている事が多いです。漢方薬の中では飲みやすい味です。
子供の腹痛・下痢・便秘には小建中湯がおすすめです。小建中湯は夜泣き・夜尿症・虚弱体質改善にも用いられ、小児には応用範囲の広い漢方薬です。甘みがあり、子供にも飲みやすいです。
我が家では、幼かった息子が軟便だったり、便秘気味になったりでグズグズ言う時に重宝していました。
きず・やけどに・・・紫雲膏
外用の漢方薬もあります。紫雲膏です。
紫色は紫根と呼ばれる生薬の色です。紫根には抗菌・抗炎症・肉芽形成(傷の治りを早くする)促進作用があります。
ひびやあかぎれにもよく効きます。
独特の色で洋服についたりすると厄介ですが、それを抜きにすれば便利な塗り薬です。
まとめ
便利な漢方薬は他にも色々とありますが、「最低限常備するとしたら・・・これかな」というものをご紹介しました。
最近は錠剤やゼリータイプ等、色々な剤形もあります。ご家族の飲みやすい剤形を選ぶと良いでしょう。
応急処置として短期間服用するには、まず心配のいらないお薬です。ただ、持病があってお薬を飲んでいる方等、ご不安な方は前もって主治医やかかりつけの薬局でご相談を。
そして、3~4日飲んでも良くならない時は、ズルズル飲み続けるのではなく病院へ。
コロナ禍でセルフメディケーションの意識が高まったと言われています。緊急性の低い症状は市販薬を使って経過を見る、必要に応じて受診する・・・そうした工夫を身につける事が大切だと思います。
この機会に、是非ご家庭の救急箱の点検をしてみて下さいね。
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