喉が痛い!
そんな時、どうしますか?
ご自身の場合…。
小さなお子さんの場合…。
状況は様々ですが、まずは
慌てない!!
ことです。
生唾を飲み込む度に痛むと、食事がとれないのではと心配にもなります。が、恐る恐るでも食事を始め、「何となく食べられた」「そのうち痛みが気にならなくなった」場合は、軽症であることが殆どです。
喉の痛みを訴える患者さんは、薬局でもよく見かけますが…。
「喉がおかしいので、念の為に早めに診てもらいました」と受診される患者さん。
…トラネキサム酸(トランサミン等)と消炎鎮痛剤が記載された処方箋を持参されることが多いです。
「薬を2日程のんでも治らなかったので、受診しました。これ、同じ薬では?」
…こちらもトラネキサム酸と消炎鎮痛剤の処方箋。きっと、2日間のんでた薬と同じです。
そして、今だに耳にする質問がこれ。
「抗生物質はないのですか?」
漢方の観点だと、喉の痛みは外からくる邪(寒邪・暑邪・燥邪など)によるものと考えます。
身体にこたえる寒さや熱、乾燥…といったイメージです。
西洋医学的には、乾燥やアレルギー、感染症が原因としてあげられます。
このうち抗生物質が効果を発揮するのは、感染症の中でも細菌感染のみです。
喉の痛みを生じる感染症の原因の多くは、ウィルスです。
抗生物質の乱用による耐性菌の出現が問題となり、「抗生物質はウィルスには効かない」「普通の風邪には抗生物質は不要」という抗生物質に関する啓蒙活動が進んでいると感じていましたが、浸透には時間がかかるようです。
トラネキサム酸(トランサミン等)は副作用が少ない薬剤で、ドラッグストアでも手に入ります。
穏やかに効くイメージです。
冒頭の「2日のんでも治らない」というのは「あるある」で、3~5日服用して効果が実感できるケースが多いです。
すぐに効果が実感できるとすれば、一緒にだされた消炎鎮痛剤の恩恵かと思われます。ただ、これも一時的に症状を抑えているに過ぎず、「治った」訳ではありません
そうなると、「5日もかかるなら、何もしなくても治るんじゃないの?」という声も聞こえてきそうです。
ある意味正解です。
結局のところ、治すのはヒトの自然治癒力(または免疫力)で、薬はそれまでの間の不快な症状を抑えてくれるに過ぎないのです。
では、どうすれば良いのでしょうか。
慌てて病院に行く前にできることは沢山あります。
基本は喉の粘膜を守り、潤し、鎮めることです。
基本のうがい・手洗いは忘れずに、のど飴で喉を守りましょう。
喉を潤す蜂蜜入りや、喉の炎症を鎮める生薬(桔梗・甘草・金銀花・連翹・板藍根など)配合のものがオススメです。
糖分の摂り過ぎを気にして、ノンシュガーの飴を選ぶ方もいらっしゃいますが、砂糖には潤いを保ち喉の保護してくれる効果もあります。厳密な糖分制限が必要でない限りは、ノンシュガーでないものを選ぶのもよいでしょう。(ただし、摂り過ぎには注意してください。)
部屋の乾燥も喉を傷めます。
夏場は除湿し過ぎないエアコン設定、冬場は加湿の工夫を。
余分な体の熱(炎症)をとってくれるお茶も有用です。
緑茶やハーブティー(ミントやカモミール)のご用意を。お茶でうがいをするのもオススメです。
食事にも余分な体の熱(炎症)をとってくれる食材を取り入れましょう。
豆腐・蓮根・牛蒡・大根…がオススメです。
あると便利なのが「桔梗湯」です。
ぬるま湯などで溶かして、うがいをしながら服用すると効果的です。
喉の痛みに加えて、熱感や頭痛がある場合は銀翹散も良いでしょう。
詳しくは、「我が家のクスリ箱③ 銀翹散・桔梗湯の使い方」をご覧ください。
そして、とにかく早く寝ること。
これに限ります。休息が一番の薬なのです。
せめて、いつもより1時間早く寝床に入りたいのものです。
繰り返しになりますが、治すのは病院でも薬でもなく、自分自身の力(自然治癒力)です。
「念の為に病院」ではなく、「念の為に適した食事をとって早く寝る」ことをオススメしたいです。
ただし、受診すべきケースもあります。
高熱を伴う場合は、水分摂取が上手に行えず脱水状態になる可能性があります。また、小児に多い溶連菌感染症の場合は、抗生物質が奏功します。診断も病院では簡易キットで行えます。
息苦しかったり、呼吸音がいつもと違う場合は、喉(咽頭)の下の部分(喉頭)の炎症が起きている可能性があります。
症状が3日以上続く場合は、セルフメディケーションにこだわらず、専門家に任せるべきです。
…こんな場合は受診しましょう。
自分を知り、正しく労わり、健やかな毎日を…。
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