勤務も含めた私の日常生活の場は、京都府南部です。京都市内に点在する華やかなお寺とは比べようもありませんが、雰囲気のある古寺がいくつかあります。
立地的には、比べてしまった京都市内のお寺より奈良との関わりの方が多いかもしれません。
夫の転勤で関東に少しだけ住んでいた頃、「京都から来た」と言うと「清水寺との近く?」と訊かれ、「むしろ東大寺の近く」と答えたことが度々あったぐらいです。
…前置きが長くなりました。この地で催された春の特別公開の一つに蟹満寺の両界曼荼羅と釈迦十六善神図がありました。職場から車で30分もかからない場所なので、土曜日の半日勤務の後に行ってみました。
このお寺の名前を初めて耳にした時、「海のない所で蟹なんて〜」と思ってしまいました。
蟹といえば、タラバガニやズワイガニしか思い浮かばなかったので…。
ちゃんと川にもいますね。沢蟹は食べたことがないけれど。沢蟹も食べられるのです。
でも、食べられそうになっていた蟹を逃してやった娘が、蛇に求婚されるという災難から蟹に助けられた…のが、このお寺の縁起だそうです。今昔物語にもある蟹の恩返しのお話です。
ご本尊の釈迦如来像は国宝です。端麗なお顔をされていて、個人的にはふくよかなホッペとお耳に優しさを感じました。
両界曼荼羅と釈十六善神図も間近で拝見することができました。小さな仏様の表情もきっちり描かれていて、その精巧さに驚かされます。この地を襲った土砂災害で泥まみれになったのを修復したとのことで、さらに驚かされました。
蟹満寺をお詣りして帰るつもりでしたが、途中で「神童寺 左折」の看板を目にし、急遽寄り道。
新緑の木々の中にひっそりと佇む本堂のみのお寺ですが、かつては「北吉野山」と称されるのにふさわしい規模のお寺だったそうです。平家の南都焼き討ちでこのお寺も被害に遭い、今の規模になってしまったようです。
その為か重要文化財となっている仏様が沢山いらっしゃいました。
ただ、ご本尊の蔵王権現は重要文化財に指定されていません。スケールの大きさでは吉野山金峯山寺の蔵王権現(「秋の特別拝観②:金峯山寺編~青色の仏様~」)が一番かと思いますが、こちらの権現様もそれに次ぐ大きさで荘厳なお姿です。それでも重要文化財に指定されなかったのは、残っている彩色が江戸時代に塗り直されたものであることが判ったからだそうです。科学の力ってすごいですね。当時の人は良かれと思って(仏様をキレイにしたくてかな?)お色直し(というのかしら?)したはずなのに。だからといって仏様のありがたさが変わる訳ではありませんが。
境内には桜の木と共にミツバツツジの木も。4月上旬にどちらの花も楽しめます。
今年はライトアップもされたようで、写真を見せていただきました。
近くに住んでいるのに勿体ないことをしました。
来年こそは・・・とどこのお寺でも言っているような。気の向くままにお寺巡りの「あるある」です。
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