あり合わせの材料で参鶏湯を作って、思ったこと

参鶏湯サムゲタン、ご存知でしょうか。そう、韓国の伝統的な薬膳料理の一つです。
鶏肉（一羽丸ごと！）の中に高麗人参・もち米・松の実等を詰め込んだ煮込み料理です。
本場では夏バテ防止に食することが多いようですが、漢方でいうところの「気（≒エネルギー）」「血≒（血液や栄養分）」を補い、「脾胃（≒胃腸）」を温める食材で作られた参鶏湯は、冬の冷え対策にもピッタリのお料理です。
家で作るには手羽元を使えば良い…と聞いたので、やってみました。「なんちゃって参鶏湯」です。

高麗人参なんて勿論ないし、松の実を置いているような洒落た台所ではないので、投入した材料はこれ。

ニンニク→実家でもらったのがあって良かった。
乾姜かんきょう→たまたま生姜を切らしてしまい、以前に家で作った生姜を蒸して乾燥させたものを使用。生薬でもあるけれど、これはあくまでも自家製。（「ポカポカ食材（と言われている）生姜の正しい？使い方」）
棗なつめ（大棗と呼ばれる生薬でもありますが食べた記憶がありませんでした。「１日に棗を3つ食べると老いない」と言われるので試そうと購入。自然な甘みで普通に食べられるけれど、３つもね…と冷蔵庫に放置してカチコチに。）

これと一緒に手羽元・白ネギ・白米（もち米なかったので）・塩少々・水を鍋に入れて火にかけます。
私は美味しく煮込めることを期待して、土鍋を使いました。

沸騰してきたらアクをとり、火を弱めてコトコト煮ます。３０分程かかったかな。

出来た！！（美味しそうな写真が撮れない。無念…。）

調味料が塩だけとは思えない美味しさです！
これだけの材料だと薄味かなと、塩コショウや大和当帰葉十味（もう我が家では欠かせません。「お気に入りの薬味から生薬を考える　〜当帰について〜」）も用意していたのですが、不要でした。
素材の味だけで、ここまで美味しくなるとは…。
「これ、本当に塩だけ？」と息子まで言っていました。

素材の味…で、思い出すのは息子が幼かった頃の「キリン味のゼリー」です。
果汁100％の一口ゼリーを買いに行ったものの品切れ、「たまにはいいか」と買った無果汁の一口ゼリー。
普通に喜んで食べていた息子、ある時「今日はキリン味にする！」と。
キリン味？
正解は（無果汁の）パイン味でした。
いつもの果汁100％の一口ゼリーには、味に合わせてブドウ・リンゴ・オレンジの絵が、この一口ゼリーには動物の絵が描かれていました。
当時の息子には、まだパイナップルを与えていませんでした。なので、その味を結びつけるのは容器のフタに描かれているキリンの絵だったのです。
子供って、本当にまっさらなんだと思った瞬間でした。

化学調味料を初めとする食品添加物に関して、私の立場は「程々ならね」です。
無添加へのこだわりは、あまりないです。
農薬の発明で食料難による餓死者が減ったし、一部の添加物のお蔭で食中毒が防げるとも考えています。
ダシから煮物を作ることもあるものの、だし醤油は常に冷蔵庫にあります。
便利な生活を甘受する限り、添加物の影響は必ずあります。私は添加物を極力減らす・万遍なくとる（同じ食品を摂り続けない）ようにしています。
無添加にこだわり過ぎると、どこかで無理が生じます。そもそも、天然のものだから人体に安全…という訳でもありません。
それでも、まっさらな子供の最初の体験は大切にしたいと思います。

話戻って、参鶏湯。
初回の成功に気を良くした私、新たな材料をゲット。

緑米→古代米の一種。モチモチした食感なので、もち米の代わりに白米と。
クコの実→棗と同様、滋養に良い食材。目に良いといわれていて、棗以上に興味あり。
国産乾燥棗→小さくて食しやすいけれど、種の方が大きいかも。

これらとニンニク・生姜で前と同様に土鍋でコトコト…。
多めに作ったので、残ったら翌朝のスープにと考えていたのですが、部活帰りの息子が最後にご飯を放り込み、土鍋を空っぽにしてしまいました。

…母の勝利、いえ素材の勝利です。